東京高等裁判所 昭和39年(行コ)45号 判決
本件公売のように、仮換地の指定されている従前の土地の一部を分筆して、これを公売に付する場合、徴税当局としては、その分筆土地について仮換地の指定(変更)を受け、公売公告においても、従前の土地(分筆土地)の表示にあわせて、その仮換地の表示をすることが望ましいとしても、原判決説示のとおり、右表示を欠いたからといつて、その一事で公売公告を違法ということはできないものと解する。
本件の場合、成立に争いのない甲第二号証の一ないし三、乙第五号証の一ないし五、第六、七号証、原審証人佐々木徳一、本郷五郎、有馬武、嘉戸茂金の各証言、右嘉戸証人の証言により成立を認める甲第一五号証を総合すると、本件差押えにかかる従前の土地五八番の一、宅地三六〇坪二三については、古く昭和二五年ころにその仮換地として、五八番の一、宅地二六五坪五五が指定され、既に地上物件の移転も終つて、従前の土地は原形を残さない状況にあり、それから分筆された本件公売土地五八番の三、宅地七五坪七〇についても、その換地予定地として、右五八番の一の仮換地二六五坪五五のうちの斎藤長五郎所有家屋の敷地部分(従前、小久保六一の借地として区劃されていた部分)実測五三坪二一が内定されていた、というよりは、むしろ、差押えにかかる従前の土地から、その仮換地のうちの斎藤所有家屋所在部分五三坪二一に照応する部分を分筆するために、土地所有者控訴人の代位債権者として東京都(担当機関被控訴人所長)が第二区画整理事務所と連絡し、その指導のもとに、右仮換地における斎藤所有家屋の敷地部分に対応する従前の土地として、本件五八番の三、宅地七五坪七〇を分筆したものであつて、区画整理事務所としては、必要なら、いつでも右分筆土地の仮換地指定(変更)通知ができる状態にあり、したがつてまた、本件公売公告による公買希望者その他の関係者にしても、右公売目的土地の現地(換地予定地)を知りたいなら、徴税当局なり区画整理事務所について調査すれば、容易にこれを知りうる状態にあつたことが認められ、本件公売公告に右仮換地(内定の換地予定地)の表示を欠いたことにより、関係者に別段の不利損害を生じた形跡は認められない。したがつて、この点において本件公売手続に違法ありということはできないものというべきである。
(福島 武藤 岡田潤)